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不動産オークションについて考えてみた

一昔前でしたらゲームを売りたい、洋服を売りたいとなった時に中古買取屋さんに売りたいものを買い取ってもらっていました。それが今や、メルカリやヤフオク等の出現によって存在価値を失い、衰退していきました。

そういったCtoCサービスを利用している双方にも目的が有るわけで、購入者側は出来る限り安く、売る側は出来る限り高く売りたいと考えていることだと思います。ヤフオクはタイミングもありますが、基本的に相場近くにまで上がるので放置でも構いませんが、メルカリを自分で売値を指定するため、売り主が相場を事前に調べて、その価格を元に売値を設定して販売しています。

一般に販売されているものをサービスを使って流す場合は、過去の公開されている取引から、相場が知ることが出来るので問題はありません。ただ、価値の判断が難しいもの(限定品で今は手に入らないプレミア品、セット売り、アート系のもの等々)は適正な価格が判断がつきません。そのため、高値で売ることを目的としているのならば、フリマ系のサービスは適しません。欲しい人がいる限り競り上がっていく、オークションでやるのが適しています。

 

 

 

ここからが本題、

住宅だったりマンションといった不動産は基本的に同じものは存在しません。確かに、駅からの距離とか、広さとか、材質等の諸々によって計算された相場は存在します。しかし、あくまで相場は相場です。

先程も言いましたが、不動産は同じものが存在しません。そのため、欲しい人はとても欲しくなるわけです。

個人によって価値が変わるわけですから、今のような早い者勝ちよりも、高い値段で売れるんじゃね?ということで考えられたのが「不動産オークション」になります。

海外では既にアメリカのRentberryやカナダのBidwellをはじめ、大変賑わっているようです。

そして日本も昔ありました。

マザーズオークションというサービスが

今はありません。

美輪さんがCMしてました。


マザーズオークション CM

 

 

このサービスの目的もさきほど僕が言ったように売り主が、より高い価格で物件を売ることを目的としていました。

全体の流れとしては、
1.売り主は不動産会社に物件の売却を依頼

2.媒介契約を結んだ不動産会社は、マザーズオークションに物件の掲載する

3.掲載された物件を観た登録者は、一般のネットオークションと同様に入札していく

4.最高額を入札した人が落札者になり、取引権利が獲得できる

5.落札者と売り主は不動産会社を介して売買契約を行う

取引完了!! 

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マザーズオークションの流れ

一見すると素晴らしいじゃないか!と思えるかもしれませんが実は問題点がいくつかありました。その問題点が以下になります。

・片手取引であること

・不動産会社の負担が大きい

・買い主の事を考えてない

 

片手取引であること

マザーズオークションでは、売り主からの仲介手数料は不動産会社に、買い主からの仲介手数料はマザーズオークションに入る仕組みになっていまいた。いい物件だろうが悪い物件だろうが、出品したら半分の仲介手数料を取られます。そうなってくると、優良物件をわざわざ出品する旨味がないわけです。優良物件なんだから、買い手は見つかるわけですし、自分で見つければ両手取引で両方から仲介手数料をもらえます。そのため、不動産会社からすると買い手を見つけるのが難しい物件ならまだしも、優良物件を出すメリットがないわけです。

 

不動産会社の負担が大きい

マザーズオークションでは、情報の透明性を保つために掲載する物件の情報をかなり詳細に明記することを義務付けていました。重要事項説明時と同等のレベルのものを要求していたそうです。本来、不動産会社は、このレベルの資料の作成は、買い主が見つかり、もうほとんど契約と重要事項説明くらいの段階でのみ行います。それを、見つかってもいない、買う人が出るかもわからない、お金が発生するかもわからない、その段階で行うわけです。不動産会社からしたら、出品するのも大変だし、出品するのに働いた分の金が返ってくるかもわからないわけです。

 

買い主の事を考えていない

当たり前ですけれども買う方は、出来る限り安く買いたいというのが心情なわけです。ヤフオクを思い出してもらうとわかりやすいですが、あそこで落札されている商品(一般に流通しているもの)は、基本的に新品の定価や中古ショップの相場よりも安い価格で取引されています。そのため、エンドユーザからすると「相場よりも安く変えるのなら良いけども、最低落札価格が相場とそんなに変わんないんじゃ旨味ないやん。しかも仲介手数料も普通に払わなアカンし。」という事が起きます。売り主は高く買ってほしい、対してエンドユーザは優良物件を格安で手に入れたいわけです。

 

総括すると

片手取引→いい物件は出ない

不動産会社の負担が大きい→物件数が少ない

旨味のある物件が手に入らない→利用者が減る

結果、負のスパイラルで入札率、落札率、物件数は減っていき消失したというのがマザーズオークションの顛末になります。

 

 実際に利用したこともなければ、ページを閲覧したこともない僕が言えた義理ではありませんが、一般的なネットオークションのフレームに不動産を当てはめただけだなというのが個人的な感想です。

オークション形式で不動産取引で重要なのは、その物件を欲しがるユーザを引っ張ってくることなわけです。冒頭でも言いましたが、不動産は基本的に同じものはありません。場所、間取り、内装、材質、近隣etc...。それらひっくるめて、この物件がほしいと思う買い主がいて初めて成立します。

コレクション価値がある者は、興味のない人からすれば大した価値ではありませんが、欲しい人からすれば大きなお金が発生します。不動産も同様で、出品されている物件をほしがる人、数人がいることで正しく相場より高くなる事が起きると思います。

マザーズオークションでは、エンドユーザがサービスのページに記載されている物件情報を元に入札を行うわけですが、検索システムとか内見が出来るのか、詳しくはわかりませんが、結局そういった出品されている物件をほしがる人間をマッチングできなかったのだと思います。だから、出来る限り安く買いたいと思っているエンドユーザっていうのは、完全に投資目的の人間なわけですから、それは成立しないでしょうね。

 

 

 

さて、ここからが本題です(2回目)

先程まで言ったように、従来の不動産オークションは、一般的なネットオークションの形式に依存しすぎたために、まともに機能しなかったのだと私は考えています。だから、より不動産取引あった形式ならうまくいくのではと思っています。それで、マザーズオークション以降の日本の不動産オークションサービスを調べたんですよ。そしたら、とてもおもしろそうなサービスが有りました。

http://eajt.co.jp/index.html

エスクロー・エージェント・ジャパン信託という会社

ここの不動産事業として不動産オークションをやっています。この企業がやっている不動産オークションでは、マイホームではなく、事業用不動産を対象にサービスを行っています。事業用不動産というのは、テナントやマンションといった収益を得ることを目的とした不動産になります。事業用不動産なので基本的に法人になります。法人なので、個人と違い、法人ならではの事情やお財布の問題で取引がしやすいというのがあります。

それで何が面白かったのかというと、この会社の取引までの流れがオークションすることを考えられているのが面白かったわけですよ。マザーズオークションの方式だと自分のほしい物件は、自分で調べ自分で見つけなくてはなりませんでいた。この企業では事業用不動産ということもあり、事前に営業用の企業を調べて、どういった物件を欲しがっているのが事前に把握し、リスト化しておきます。営業先のリストと物件情報を元に、欲しがりそうな会社(もしくは個人)に営業していく。それによって最大8人まで、その物件をほしがる入札者をつのり、その上でオークションを行うという仕組みになります。

マザーズオークションだと媒介契約は、マザーズオークションと提携している不動産会社が行い、物件の調査も不動産会社が行っていました。このサービスだと、媒介契約を行っているの自社のため囲い込みの心配もなく、自社で物件調査も行っているので面倒事にならないわけです。

それでいて、売主の物件に対して欲しがりそうな買い主を複数人見つけてきて、競わせる。おや?可能性が見えました。

世に出て間もないサービスなので、取引がどれくらい行われいるのかわかりませんが、この形態が上手く言ってくれれば、色々と不動産取引のあり方が変わりそうです。

 

あと、この企業、不動産取引にブロックチェーンを用いるために実験を行っているみたいです。不動産テックに事業にも率先的に取り組んでいるようですし、営業先のリストとかも電子化して効率的に絞込とかしていそうです。

goodway.co.jp

 

 

まとめ

そもそも何で今回、不動産オークションの話をしたのかというと、僕が不動産の特に居住用不動産を如何にして価値を高めて売却するのかということに付いて調べていたからなんですよ。現状の不動産売却の流れだと、やっぱり優良物件は囲い込みでさくっと売られたりだとか、相場と変わらないくらいの値段で売れたとか。売り主が時間的な問題で早く売りたいとかならわかりますけれども、やっぱり売る人は、その後のこととかで高い値段で売りたいわけです。そうなってくると、自分の所有する不動産を、それを欲しがる人に売ることが一番適した手段だと考えたわけです。ただ、創作物のように、うまいこと欲しい人と欲しい物をくっつけるのは、とても大変なことだと思います。だからこそ、あれだけの不動産会社が全国にあるわけですから。

先程、お話したエスクロー・エージェント・ジャパンの不動産オークションは、自社で営業先を事前にリスト化することで、マッチングを行っていました。之と同じことを一般住宅でやろうとしたら、大変でしょうね。営業する対象も多い、値段も事業用不動産よりも小さい。そうなるとやっぱり、営業や資料作成の部分のコスト削減を行う必要があるのだと思います。

海外だと既にそういった動きが始まっていて、有名な話だとfacebookの夫婦のステータスが離婚になると、片方は家を買いやすいという傾向を発見し、それを営業の指標としているみたいです。タクシードライバーのAIの事例もそうですけど、経験と言われているものは機械学習のモデルとして落とし込めるわけです。日本だと不動産取引の電子化があまり進んでいないということも有って、似たようなことが進みにくいということもありますが、不動産側も完全拒否という感じはしませんし、泥沼ですけど進んでいきそうな気はします。

www.nikkei.com

ただ、取引の電子化で、どういった人がこの時期に購入しやすいとかは、やれそうなんですが、それだけではマッチングを行うのに情報量が十分では無いと私は考えています。

やっぱり、ポータルサイトで見ているものだけだと、値段だとか築年数とか、間取りとかありますが、やっぱりそれくらいしか判断材料にないわけで、たとえばその人が騒音がとても気になる方かもしれないし、空気の入れ替えが良いところを好むかもしれない、そういった部分というのは実際に済んでみて経験しないとわからないのが現状だと思います。ただ、そういったところをサポートするのがテクノロジーの役割ですし、それを実現するためには物件・エンドユーザ含め十分な情報量も必要になります。

エンドユーザ側の情報量は、不動産テックに限らず、あらゆるテック系が介入してくるので、インフラの発展も解析の発展も無事進んでいきそうな気はします。ただ、物件の情報を増やすとなると、情報量の多さが期待値の低下につながるので、色々と大変な気はします。こういう風に書くと、まるで売り主・不動産会社が悪いみたいに聞こえますが、全然悪くないです。お金は誰でもほしいです。

なので、仕組みとしえは情報量を増やすことが顧客の増加や売値の向上とか、そういったところに直結することが可能な仕組みを作ることが、物件全体の情報量を増やす手段として必要なのかなと色々と調べて感じました。